日本遺産って知ってますか?
冒頭でも書きましたが、「日本遺産」とは、地域の歴史的魅力や特色を通じて 、我が国の文化・伝統を語るストーリーを「日本遺産(Japan Heritage)」として、文化庁が認定するものです。
平成27年度からはじまり、現在、83件が認定されております。
文化庁は東京五輪・パラリンピック開催の令和2年に100件程度とすることを目指しているそうです。
もちろん、「世界遺産」も素晴らしいです。
ですが、我が国日本にも、素晴らしい歴史や文化があります。
「日本遺産」をまわり、ぜひ、日本の良さを再確認しましょう!
宿泊予約は済んでますか?
今回は「地下迷宮の秘密を探る旅」に注目!
今回、ピックアップさせていただくのは、平成30年度に認定された「大谷石文化が息づくまち宇都宮」です。
認定内容は、宇都宮市を代表する歴史文化資源である「大谷石文化」がテーマ。
大谷石文化とは?
ストーリーの概要としては、
「冷気が張りつめるこの空間は一体、どこまで続き、降りていくのだろう。
壁がせり立つ巨大な空間には、柱が整然と並び、灯された明かりと柱の影が幾重にも続く。柱と柱の間を曲がると、同じ光景がまた目前に広がり、しだいに方向感覚が失われていく。
江戸時代に始まった大谷石採掘は、最盛期に年間89万トンを出荷する日本屈指の採石産業として発展し、地下に巨大な迷宮を産み出していった。
大谷石の産地・宇都宮では、石を「ほる」文化、掘り出された石を変幻自在に使いこなす文化が連綿と受け継がれ、この地を訪れる人々を魅了する。」
とあります。
では、実際どんなところなのか、その文化に触れつつ、街を歩いてみたいと思います♪
1.大谷資料館
まさに「地下宮殿」!!
「大谷石」を語るには、やはりここから紹介しなければなりませんね。
こちらは、大谷石の元採石場の跡地に造られている「大谷資料館」です。
入ってすぐの場所には、昔使っていたツルハシなどが展示されております。
「大谷石」とは、栃木県宇都宮市大谷町付近一帯から採掘される、流紋岩質角礫凝灰岩の総称です。
採掘が本格的に始められた江戸時代の中頃から、機械化になる1960年(昭和35年)頃までの道具といえば、数本のツルハシ類と、石を運ぶときに使われた背負子ぐらいしかありませんでした。
また、大谷石の採掘方法には、「平場掘り」と「垣根掘り」という2つの掘りかたがあります。
この2つの採掘方法を組み合わせ、「露天掘り」、「坑内掘り」というような採掘場の形態がみられ、採石が行われていたようです。
そんな様々な様子の紹介から、こちらの資料館は始まります。
そして、いよいよ地下に潜入!中に入ってすぐ「寒いっ!」(笑)
そう… ここは真夏でも10℃前後で上着が必要な温度になってます。
そして、先に進むと、そこはまさに「地下宮殿」でした。
一般の人々の目に触れることなく「未知なる空間」と呼ばれた、地下採掘場跡。
その広さは、2万平方メートル、深さは30mにもおよびます。
石肌には、手堀り時代のツルハシのあとが残り、ずっしりと年輪の重さを感じさせ、地下の巨大建造物を思わせる景観は、この地ならではの圧巻です。
しかも、それがライトアップされているので、本当に幻想的です。
さらには、外気温と差が大きくなる今は、結露が発生して、さらに美しい姿が映し出されます。
こちらでは、たくさんの撮影もされています。
仮面ライダーやウルトラマン、勇者ヨシヒコなどだそうです。
また、ミュージックプロモーションビデオなどにも、数多く登場しているようで、その様子を紹介した展示物もありました。
案外と子供さんにもウケるかもしれませんね。
また、この中で”結婚式”も挙げられるんだとか…
こんなところで愛を誓えたら… ロマンチックですね!♡
歴史的にも素晴らしい資料館ですが、こうしてみると、どこを切り取っても”インスタ映え”な空間。
さらに、涼しく過ごせる地下空間は、夏のうだるような暑さを忘れさせてくれる、まさに天然のクーラーです。
また、冬には地下坑内の気温が2℃まで下がり、なんと、これまた不思議な「石の華」と呼ばれる塩の噴出しが見られるとの事。
年間通して、いろいろ楽しめる空間であることは、間違いないようです。
資料館の周りを見ても、鋭く切り立つ岩山と灰白色の岩肌に蔦(つた)が絡まる奇岩群(きがんぐん)に囲まれております。
ここは約1500万年前に起こった海底火山の噴火が、石の文化の源となる膨大な凝灰岩の地層を産み出したとされています。
街のあちらこちらに、このような風景が見られますので、長い年月をかけて作られた大地の神秘を、いろいろな角度を見てみるのもいいですね。
2.大谷観音
日本最古の石仏!
「大谷寺」は、坂東三十三観音霊場の十九番札所として数えられ、
ご本尊の千手観音は、高さ4m、平安時代(810年)弘法大師の作と伝えられています。
古くから「大谷観音」と親しまれ、日本最古の石仏といわれています。
仁王門の後ろには大きな岩場がそびえ立ち、見る者を圧倒します。
仁王門の先には寺務所があり、その先は拝観料が必要となります。
お守りや御朱印なども、こちらで対応してくださいます。
中に入ると、これまた大迫力の大きな岩山が… その岩に食い込むように本堂が建てられております。
その様子がまたすごく不思議です。
日本遺産を形成する代表のひとつ
こちらのご本尊は、凝灰岩の岩壁に彫られた高さ4メートルの千手観音さま。
お寺周辺には縄文時代の人の生活の痕跡が認められること、また弘仁元年810年に、空海が千手観音を刻んでこの寺を開いたとの伝承が残ることなどから、定かではありませんが、千手観音が造立された平安時代中期には、周辺住民等の信仰の地となっていたものと、考えられているそうです。
ただ、残念なことに、こちらのお寺は火事にあっており、
多くの堂宇を焼失しているそうです。
御本尊も金張りであったものが、いまは岩剥きだしになっておりました。
中に入って、御本尊を見る事ができますが、撮影禁止区域なので、残念ながら紹介することはできません。
その圧巻の様子は、ぜひ、ご自分の目でご覧になってください。
ご本尊を存分にお詣りした後は、その先にある、庭園を見て回りましょう。
こちらはとても綺麗に手入れされていて、真ん中に池があり、その中央に赤い御堂があります。
そこに祀られているのは「弁天様」です。
金運アップのご利益がありますので、ぜひ、お詣りしておきましょう(笑)
また、この他にも「宝物殿」があり、そちらには、約11,000年前の縄文最古の人骨も展示されています。
昭和40年4月防災工事中にお堂の下から出土したものだそうで、身長154cm、年令20歳位の男性と考えられています。
小さく丸めるように、ちょうど母親の胎内にいるように埋葬されていたようです。
大谷寺にお詣りの際には、ぜひ、忘れずに見学してみてください。
ちょっと感動します。
ここは、紅葉もとても美しいです。
その季節を選んでお詣りするといいかもしれません。
3.平和観音
大きな観音さまがお出迎え♪
大谷寺の向かいには、平和公園があります。
こちらは、元々大谷石を産出する採石場であった場所だそうです。
そこにいらっしゃったのは、なんと大きな観音さまです!
その名も「平和観音」さま。
大谷寺の南側に高くそびえる平和観音は、身丈26.93メートル(88尺8寸8分)の高さで、第二次世界大戦による戦没者の霊を弔い、世界平和を祈念するために、大谷観音の御前立として彫刻されたものだそうです。
そのお姿は、これまた圧巻!です。
戦後間もない昭和23年9月より、当時の大谷観光協会と地元の人々の熱心な後援のもとに、大谷石の採石場であった壁面を利用し、南側の岩肌に観音像を刻みました。
東京芸術大学教授・飛田朝次郎が彫刻を手がけ、その指導のもと、大谷町の石工・上野波造氏らが制作にあたりました。
6年の歳月を費やした結果、昭和29年12月に完成しました。
昭和31年には、日光輪王寺門跡菅原大僧正により開眼供養が行われ、それ以降大谷の顔としてそびえ立っています。
公園内には、その他にも採石場跡やスルス岩・天狗の投石・親子がえると呼ばれる奇岩などが多数あり、
見どころ満載になっております。
その中でも「天狗の投石」は文化財の一部にもなっています。
それは、天狗が投げて乗せたという伝説が残っており、まるで本当に怪力を使って天狗が置いたように、絶妙なバランスで崖の上に乗る不思議な大谷石なんです。
平和公園に行ったら、ぜひ、見てみましょう!
4.ROCKSIDE MARKET
資料館の側にはオシャレなお店が♡
そんな巨大地下空間「大谷資料館」の隣には、こんなオシャレなお店が…
こちらはカフェ兼ショップで、地元ではちょっとした話題を集めている注目スポット。
その名も「OYA MUSEUM ROCKSIDE MARKET」です。
解放的な店内には、可愛い雑貨が並びます。
大谷石でできた小物などもあり、思わず手に取ってしまうようなものばかり。
ショップのオリジナル雑貨や、栃木の伝統工芸とものづくり作家とのコラボアイテムなど、おみやげにぴったりの雑貨がいっぱいです。
カフェの方は、メインの空間はもちろんむき出しの大谷石。
そこに木目を生かした家具などがあり、落ち着ける空間になってます。
カフェのイチオシメニューは、栃木県産そば粉のガレットと新鮮素材のジェラート。
栃木県産の物がふんだんに使われているので、とれたての旬の野菜やフルーツが楽しめます。
ガレットはお食事系とスイーツ系で全5種類。しかもボリューム満点!
これだけで女子は満足しちゃうかも♡
ドリンクも水出しのアイスコーヒーなど、こちらもこだわりのある1品が揃ってます。
5.うどんや
街の至る所に大谷石が…
宇都宮の街を歩くと、至る所に大谷石を使った建造物や建物、蔵などが立ち並びます。
こちらも、もとは小麦の貯蔵庫だったというこちらの建物。
現在は「うどんや」というお店になってます。
そこで食べられるのは、大阪出身のおかみが作る、本格的なお好み焼きやトンペイ焼き。
本場の味が楽しめる、もちろん、お味もおいしいと評判のお店です。
店内は蔵ならでは!の雰囲気が漂います。
ランチは、いつ訪れてもたくさんのお客さんで、ほぼ満席!
ランチタイムが始まってすぐに行くのがオススメだそうです。
看板にあるように、焼酎のラインナップも◎!
他ではなかなか置いていないような焼酎も楽しめるそうです。
市民の生活の一部となっていた大谷石。
ぜひ、側で感じながら食事やお酒も楽しんじゃいましょう♪
6.石の蔵
こちらも元は倉庫でした。
ここは、宇都宮駅から徒歩で15分くらいの場所。
倉庫として使われていた大谷石の蔵を、クリエイターたちの手で、レストラン&カフェに改装したのがこちらのお店だそうです。
こちらでは、ボダムのコーヒーメーカーでつくったコーヒーをいただきました。
石につつまれた、ぜいたくな時間が流れます。
そして、こちらで特に人気なのはブッフェコースです。
メインはお肉やお魚など、その日に用意されているものから好きなものを選び、前菜とデザートがブッフェになっています。
野菜の種類が豊富で、健康的でおいしい前菜をいただけます。
ステキな雰囲気の中でいただくお料理は、また格別でしょう◎
7.宇都宮二荒山神社
歴史ある神社にも大谷石が…
城下町・門前町として発展した宇都宮の市街地では、江戸時代以降、都市づくりに大谷石を使い続けてきたそうです。
都市のシンボルである二荒山神社の石垣をはじめ、教会や寺、公共建築、豪商の屋敷、民家の塀まで、用途・身分・宗教を問わず大谷石が使われたのだとか…
「二荒山神社」では、大谷石を使ったダイナミックな石垣が間近で見る事ができます。
注意深く見てみてください。
こちらの2つの建物も必見!
大谷石で外壁を覆う「カトリック松が峰教会聖堂」では、浮彫を施した大谷石タイルを複雑に組み合わせ、象徴的な丸いアーチや西洋中世の教会建築の意匠を実現したそうです。
対照的に、「日本聖公会宇都宮聖ヨハネ教会聖堂」では、同じ大谷石タイル張りでありながら、石の自然な表情を活かした素朴なたたずまいの敬虔な信仰空間をつくりだしたようです。
宇都宮に行ったら、こちらも忘れずに訪れる事をおすすめします◎
また、耐火性に優れ調湿・消臭効果を備える大谷石は、食品醸造に適し、味噌や酒、醤油などの商家の蔵に用いられたそうで、そんな蔵を改装して、現在ではたくさんのレストランやカフェがオープンしてます。
お気に入りのお店を発見するのも楽しいかもしれません。
いかがでしたか?「地下迷宮の秘密を探る旅」
いかがでしたか?
今回の日本遺産を巡る旅「石の街 宇都宮編」。
大量の石に恵まれた宇都宮の人々は、長い時の流れの中で、この石に祈りや願いを「彫り」、そして石材として「掘って」きたのです。
生活の一部として、「大谷石」は宇都宮の人々には、なくてはならない存在であったことでしょう。
大谷石で作られた建造物は、まだまだあります。
今回、紹介しきれなかった、素敵な場所が他にもいくつもありますので、ぜひ、宇都宮まで足を運んで、その素晴らしい姿をその目で見てみてください。
みなさん、「日本遺産」というのはご存じでしょうか?
んっ?世界遺産は知っているけど… それって何?という方もいるでしょう。
「日本遺産」とは、地域の歴史的魅力や特色を通じて日本の文化・伝統を語るストーリーを認定し、国内外への魅力発信や地域活性化を図る日本の事業です。
今回は、そんな日本遺産のひとつに迫ってみます。