本当に行った 遊びのガイド

季節や見る角度でさまざまな色に変化する神秘の泉「丸池様」【山形県・庄内】

山形県庄内の鳥海山のふもとに「丸池様」と呼ばれる神秘の泉があります。池なのに「様」がつくのは、昔からこの池そのものが信仰の対象とされ敬われてきたため。季節や光の加減で表情を変える、魔訶不思議の池「丸池様」を訪れました

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丸池様

 山形県酒田市にある庄内空港に降り立ったら、レンタカーで「丸池様」を目指します。空港からの距離は約35km、所要時間1時間ほど。丸池様の住所をカーナビに入れて向かうも、場所がわかりにくく迷いながら目的地を目指しました。

庄内平野の田園風景の先には鳥海山が見えてきます。庄内富士の異名も持つその山のふもとに丸池様があります。場所は山形県遊佐町、アカデミー賞最優秀外国語映画賞を受賞した映画『おくりびと』のロケ地となった場所でもあります。

丸池様

丸池様
山形県飽海郡 遊佐町直世荒川57

到着したのは、鮭の孵化を行う「箕輪鮭孵化場」です。ここには丸池様の観光案内の看板や、丸池様まで誘導する案内標識があります。

住所:山形県飽海郡遊佐町吹浦字七曲堰東56
電話:0234-72-5886 (遊佐町企画課観光物産係)
アクセス:庄内空港から車で約60分。日本海東北自動車道酒田みなとICから車で25分。JR吹浦駅から車で5分

丸池様

案内に従って、丸池様がある場所へと、牛渡川沿いに続く農道を歩いていきます。この川はほぼ湧水によるもので、ものすごい透明度です。川の底には鮮やかな緑色の水草・梅花藻(バイカモ)が生え、川の流れでかすかに揺れています。

やがて森への入り口が姿を現し、その中へと足を踏み入れます。静寂に包まれた森は、どこか厳かな雰囲気が漂い、間もなく目の前に丸池様の姿が視界に入ってきます。駐車場からここまで1分ほどです。

丸池様

丸池様が見えてきました。少し離れたところから見ると、池の中央のあたりだけがエメラルドグリーンに見えますが、見る場所や角度を変えると、その色が池全体に広がっていくように変化します。直径約20m、水深3m50㎝のほどの池です。

丸池様

この池には、こんな言いつたえがあります。

時は平安時代後期「後三年の役」のこと。鎌倉権五郎景正という武将が敵に目を射抜かれ、三日三晩その敵を探し求めて討ち取った後、この池で目を洗ったとか。以来、この池に住む魚は鎌倉景正に敬意を表してすべて片目になったそうです。丸池様のほとりにある立て看板には、「けっして魚などとってはなりません」と記されていました。

丸池様

丸池様は、池の底からの湧水だけで満たされた池で、極めて透明度が高く、池の底まで覗き見ることができます。水中の倒木も朽ちることなく、まるで龍のようにその姿をとどめています。その景観は、中国の世界遺産「九塞溝(きゅうさいこう)」を彷彿とさせるもの。

その美しさに見とれて水辺には近づきすぎると、ズボッと足が膝ぐらいまで泥のぬかるみに浸かることもあるので(実際はまりました)注意が必要です。「聖域に近づきすぎるな」という、丸池様からの警告だったのかもしれません……。

丸池様がもっとも美しいと言えるのは、春から夏にかけての新緑の頃。明るい日差しと、木々の葉を水面に映し込み、鮮やかなエメラルドグリーンに染まる水面を楽しめます。

丸池様

秋になると木々の葉が黄色や赤に染まり、ところどころにある落ち葉と相まって、丸池様の水面は複雑な色彩を帯びます。

丸池様

冬は日差しが弱まり、水の色はやや濃く見え、暗くなり始めると葉の落ちた木々がどこか不気味な印象に見えてきます。

春を美しい女神に例えるなら、冬は年老いた魔女に変化するかのようです。その変貌ぶりには、思わず畏敬の念を覚えるほどです。

丸池様

池のそばには丸池神社の本殿がありますが、人が常駐する社務所などはなく、大物忌神社が管理する末社です。

さて、丸池様にの近くには、縄文時代の遺跡である小山崎遺跡が発見され、現在も調査が続いています。鳥海山の懐に抱かれた豊かな水に恵まれたこの場所には、縄文時代の人々が集落を作りくらしていたということです。縄文人たちもまた、この丸池様の美しさに魅了されていたのでしょうか。丸池様は、信仰を集めるパワースポットでありながら、歴史ロマンも感じさせてくれる、まさに神秘の泉と言えるかもしれません。

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ライター紹介
編集者・ライター。1977年7月1日生まれ。大学時代にバックパッカーとして旅する。出版社に勤務し、ガイドブックなどを制作。現在、編集プロダクションJETならびに出版社まる出版に所属し、児童書を中心に多岐にわたる本を制作する。著書に『タオルの絆』(コープ出版)がある。