宮沢賢治。誰しも聞いたことがある名前だと思います。
1896年に岩手県の花巻市に生まれた、詩人・童話作家です。
昔小学生の頃に持っていた国語の教科書に出てきた「やまなし」、「銀河鉄道の夜」、「注文の多い料理店」などを代表作に執筆しました。
実は、宮沢賢治の作品は生前にはほとんど一般人に知られていなかったんです。
賢治が亡くなった後、草野心平らの活動により賢治の作品群が広められ、国民的作家になっていきました。
生前は、仏教信仰と農民生活に根ざした創作を行なっていた賢治は農学に精通しており、農学校の教員を勤めたこともありました。
農民の暮らしが豊かになる農業生活ができるように尽力していましたが、積年の思いは叶わず没しました。
そういった活動をする賢治の作品中に出てくる「イーハトーブ」は、賢治の心象世界中にある理想郷を指す言葉です。
宮沢賢治の故郷であり、現在の「岩手」だという見解があります。
東京駅から新幹線に乗って、およそ2時間30分の電車旅の末。
たどり着いたのが、新花巻駅です。
宮沢賢治の出身地であり故郷である「花巻」に到着しました。
宮沢賢治は1896年に生まれ、1933年に没しました。
短い生涯の中で彼は何を見たのでしょうか?
賢治の世界や作品、知識、故郷にもたらしたものをこの度で掴めたらと思います。
ちょうど東京から花巻に来るまで読んでいた本に出てきた動物たちが、銀河鉄道の行く先にぶら下がっています。
あの話に出てきたネズミだ! 「やまなし」でクラムボンについて話していたカニだ!
と、宮沢賢治の物語を愛する人にとっては喜びと興奮が止まらない、『宮沢賢治童話村』までの目印が駅からずっと立っています。
駅出てすぐ、銀河鉄道の道を進んでいると。
おや?
かの有名な「山猫軒」があるではありませんか!
「山猫軒」と言えば、あの『注文の多い料理店』に出て来る山猫のレストランです。
主人公は、森に狩猟にやってきたブルジョワの青年2人。
山の案内人が姿を消し、連れてきた狩猟犬が泡を吹かせて死んでしまっても、お金の損失の心配ばかりする紳士2人をよそに、
森はどんどんおどろおどろしくなっていきます。さらには出口がわからず途方にくれました。
お腹をすかせて森をさまよっていると、急に西洋風の一軒家が現れました。
それがまさにこの「山猫軒」なのです。
ネタバレになるので、続きはぜひ本を読んでみてください。
この作品には「糧に乏しい村のこどもらが都会文明と放恣な階級とに対する止むに止まれない反感です」という注がついており、まさにその賢治の思いによっている作品ですね。
実は、宮沢賢治を愛している人へ、宿泊先までも賢治づくしの宿を発見しました。
駅から徒歩15分ほど。
「ケンジの宿」へ到着です。
西洋風の館で、入口前にある宿の名前が大きく目立ちます。
それでは荷物を預かってもらい、童話村へ向かいましょう。
それにしても空が広くて空気が澄んでいて、ちょっと肌寒い季節が心地いいです。
散歩するにはちょうどいい気温。
来るときに誰ともすれ違わず、この景色を独り占めできるのは贅沢かも。
宿から宮沢賢治童話村までは、およそ15分ほどでした。
そんなに遠くない距離なので、全然歩けちゃう!
いまにもどこからか銀河鉄道の走る音が聞こえそうで、山猫が飛び出してきそうな「宮沢賢治童話村」。
入り口が「銀河ステーション」って・・・ワクワクするしかないじゃないですか!
『銀河鉄道の夜』でジョバンニがどこからか聞いていた「銀河ステーション、銀河ステーション」という声が聞こえてくるようです。
実はこちら学習施設なんです。
施設内には、「銀河ステーション」、「天空の広場」、「賢治の教室」、「妖精の小径」、「ふくろうの小径」、「山野草園」そしてメインに「賢治の学校」があります。
賢治の学校の中は、「ファンタジックホール」、「宇宙」、「天空」、「大地」、「水」の5つのゾーンに分かれています。
存分に賢治の世界観を堪能できる、不思議な場所でした。
賢治の物語や絵本が読めるエリアもあったので、知らない作品も読んでみてはいかがでしょうか?
やまなし!読みましたよね。
国語の時間に読んで、クラムボンってなんなんだろう?って、今でも心の中に残っている疑問です。
宮沢賢治が作り出す造語は不思議なふわふわした表現がとても好きです。
あちこちにこうしたオブジェが建ててありました。
賢治の学校の中は、「ファンタジックホール」、「宇宙」、「天空」、「大地」、「水」の5つのゾーンに分かれているとのこと。
賢治の世界を具現化した表現物がたくさんあると聞いていますが、どんな世界が広がっているのでしょうか?
早速中に入ってみましょう。
中に入ってみると、一番はじめは「ファンタジックホール」というゾーンです。
こちらは賢治の世界に入り込む、いわば物語のプロローグ的な場所だそう。
宮沢賢治の人となりや童話の代表作などの紹介がありますので、あまり賢治を知らない方でもここで知ることができる、入門エリアでした。
様々な形をした無垢な椅子が神秘的な美しさをもっています。
不思議な部屋でした。
そして、ファンタジックホールのお隣には、「宇宙の部屋」という場所がありました。
中は3枚の大きな鏡で構成された幻想的な空間で、まるで万華鏡の世界の中にいるように感じられます。
どこまで続くかわからない宇宙の中に、ちっぽけな自分が1人残されたようで、自分の存在感を確認した気がします。
さらに進んで行くと、奥には「大地の部屋」が続いていました。
「イーハトーブ」に生きとし活けるものたちの世界と題しており、昆虫・小動物・草木など巨大ジオラマで作られた世界観でした。
他にも、校内にはイーハトーブの風や雲を体感する空間、水のゆらめきを体感できる場所があり、
今では感じられない、大自然の中に人間がいて、自然をもって人は生かされているのだと認識することができました。
賢治の思想はとても奥深いものですね。
ここでは、賢治の童話作品に登場する動物や植物、星などについて学べます。
「銀河鉄道の夜」でジョバンニたちが星座について話をしているシーンを思い出します。
どの動物がどんな生態系で暮らしているのか、星座の由来、どの季節に見えるのか・・・
など、知っているようで知らない身の回りのことを教えてもらいました。
有名な「雨ニモマケズ/風ニモマケズ」のフレーズは実は全部で367文字あるってご存知でしたか?
記念館にたどり着くまでの階段はこの文字数に合わせて367段ありました!!!
宮沢賢治記念館は、昭和57年(1982年)に、宮沢賢治のゆかりの地、花巻市胡四王山に開館しました。
農学、詩、物語・・・多彩なジャンルに及ぶ宮沢賢治の世界に出会える施設です。
宮沢賢治がいかに短い生涯の中で様々なことを学び、実践し、生かし、生活していたかがわかる場所でした。
童話作家以外に宮沢賢治のことを知らなかったので、新しい知識を色々得ることができ、自分にも刺激のある資料館でした。
チケットは、宮沢賢治童話村、花巻市博物館、花巻新渡戸記念館との共通入館券もあったので、お得に宮沢賢治の世界を学ぶことができます。
特別展も随時行っているようなので、自分の行きたい展示に合わせてプランを練るのもいいのではないでしょうか?
開館時間:午前8時30分から午後5時まで
休館日:12月28日から1月1日まで
こちらから眺められる「早池峰山(はやちねさん)」。
この山ももちろん宮沢賢治の多くの作品に登場する山です。
展望台前にも物語の一部が抜粋された石碑があり、その横の「薬師岳」も物語に登場しています。
宮沢賢治の記念館の隣にも、ありました。
かの「山猫軒」の再登場です。
先ほどは駅前店に行きましたが、こちらの方が物語から登場した雰囲気を醸し出していて食べられそうです・・!
入り口にもあのお決まり文句が書いています。
ドアを開けるのにこれほど緊張する場所もそうないでしょうね。
帰っている途中で、こんな標識を発見!!
「防火水槽」も賢治づくしだなんて・・・
この町に住みたい!!
宿では、宿で美味しいご飯を出してくれるおばあちゃんから特製の「辛味噌」をいただきました!
お家に持って帰って美味しくいただきます♩