夏のお盆休みや年末年始の休暇のときには必ずといっていいほどニュースになる帰省風景。新幹線や飛行機に乗って田舎に帰省する子供たちが『楽しかった~』と答えます。普段都会に暮らす子供たちからすると、ひとときの田舎体験は刺激に満ちた非日常体験なのでしょうね。
でもそんな帰省ができるのは両親が田舎出身の人だけ。両親が都会出身の人は『田舎へ帰省する』といった経験をする機会はなく、子供の頃は田舎へ帰省する友達がうらやましかったのではないでしょうか?
そんな方にぜひ訪れてほしいのが、今回ご紹介する農家民宿『ゆずの里 いづみ』。四国山地のすそ野、徳島県美馬市の山間地にあるとっても気持ちの良い天空の宿で、おかみの沖川しず子さんが田舎のばあちゃんのように暖かく迎えてくれます。そんな宿に滞在して、ゆっくり、ほっこり、リラックスしてみてませんか?
今回の旅は徳島県の西部にある美馬市が舞台。
徳島自動車道の脇町ICへは、徳島阿波おどり空港か香川県の高松空港から車でともに約45分。大阪からは車で約2時間30分です。
脇町ICから車で国道193号線を南に向かいます。雄大な吉野川を渡って、国道193号線から国道492号線に入り南に向かうこと0.7km、JA穴吹前で右折します。
『ゆずの里 いづみ』へは、ここからアクセスするのが道が広くて楽です。これより上流のポイントから山を登る道もありますが、道が細い場所があるので注意してくださいね。
脇町ICから20分ほどで『ゆずの里 いづみ』に到着。宿を切り盛りする沖川しず子さんが『よう来たね』と迎えてくれます。『しーちゃんと呼んでもええし、ばあちゃんと呼んでくれてもええよ』と話しかけてくれる沖川さん。本当の『おばあちゃんち』に来た気分です。
お部屋に入ると、広い縁側から、どどんと高越山(こうつさん。1,133m)が望めます。地元では高越山のことを親しみをこめて『おこおっつぁん』と呼びます。『阿波ふじ』とも呼ばれるその山容は堂々として迫力があり、山並みが美しいですね。
窓を全開にすると気持ちの良い風が吹き抜けていきます。空気感がぜんぜん違う。深呼吸するとホント空気が美味しい! ♪
お茶を飲んでくつろいでいると、ばあちゃんが『お昼ごはんできたよ』とおそばとばら寿司を運んで来てくれました。
徳島のそばは太めを温かいつゆで食べるのが一般的。昔から家庭でそばを打ってたべてきたそうです。このおそばももちろん手打ち!
ばら寿司は上に金時豆がのっかる徳島風。お祭りのときや皆が集まるときには、ばら寿司を作って皆で食べるそうです。さっぱりして美味しいです!。
手間暇かけた作りたての料理は格別! 美味しくて、お替わりもしました。デトックスされた気分!
お昼ごはんの後、少し休憩して外にでました。
なんといっても空が広い! あらためて空気が美味しい! 気持ちのいい風が吹き抜けていきます。こんな心地良さはホント久しぶり!
歩いていると山の斜面にブランコがあるのを発見! 木々の間からつるされたブランコは冒険心をかきたてられるワイルドな感じ。
おそるおそるブランコに乗って漕いでみると...「キャーーこーわーいーー!」 このブランコ、漕ぐと空に放り出される感じで、ものすごくスリリング!
アルプスの少女は楽しそうにブランコに乗っていましたが、こんなふうに空に放り出される感じなのはやめてーーー(゜Д゜)
それでも数回漕いでると少しなれてきました。なれてくると恐怖より気持ちよさが感じられて...なんかクセになりそう(^^;)
ばあちゃんが農作業に出かけます。『ばあちゃんち』に来たんですから農作業も手伝わないと!(^^;)
今は夏野菜の苗を植えるシーズン。穴をほって苗を植えていきます。
これまで簡単な園芸はやったことありますが、野菜の苗をうえるのは初めての体験。これが結構面白い!
今日、植える苗はトウガラシの『甘とう美人』。2~3ヶ月後にはたくさんの実ができるそうです。楽しみですね。
その後もワケギを収穫したり、山菜をとったり。
トウガラシの収穫の時にはまた来たい! そう思わせる農業体験でした。
農作業をしておなかもすいて...お楽しみの晩ご飯!
今日のメインは囲炉裏(いろり)の直火で焼いた『鮎の塩焼き』です。美馬市を流れる清らかな吉野川や穴吹川では多くの鮎が釣れます。清流でとれた鮎はちっとも臭くありません。頭からしっぽまで、すべて食べることができます。他の料理も地元で採れた野菜たっぷりでとってもヘルシー。毎日これだけ野菜を食べていたら健康になれるだろうに...普段の不摂生をばあちゃんちで挽回するのでした。(^^;)
それにしても、ばあちゃん手作りの心のこもった料理は格別(^-^)
もうおなかいっぱいなんですが、デザートにでてきたのは『だんご』。米粉でつくられているのでまんじゅうでなく『だんご』。それにしても1個がおおきい。でもほどよい甘さのあんこで、もう無理と思っていたのですが2個いただきました。いや最高です!
おなかいっぱいになったら眠くなってきた...今日は農作業もしたし...それでは、おやすみなさい...
昨日はぐっすり休むことができました。だって本当に静か。クルマの音とかいっさい聞こえません。聞こえるのは鳥のさえずりだけ。下界とは別世界です。天空に輝く朝の太陽で目覚めもバッチリ!
ばあちゃんが作ってくれた朝ご飯を食べた後は、宿の周辺を散歩です。宿の裏山は『ゆず』の畑になっていて、ゆずの木がたくさん植えられています。ゆずの木を見るのは初めて。ゆずの木には鋭利なトゲがあるんですね。ばあちゃんの話によるとゆずの収穫のときには厚手の手袋が欠かせないそうです。
お昼前までばあちゃんちでゆっくり過ごして、『また来るね!』とばあちゃんに別れの挨拶。
ゆずができる11月にはまた来てゆずの収穫を手伝いたいなあ...
名残惜しいですが、ばあちゃんちを後にして、お昼ごはんに訪れたのは山の上の渕名(ふちみょう)集落にある『農家レストラン風和里(ふわり)』。
このレストランは、古い農業倉庫を改修してつくられたもの。でもそうは思えない立派なテラス席があって、ここからも気持ち良い景色を楽しみながら食事することができます。
ランチは日替わり定食(650円)、渕名定食(1,000円)、風和里定食(1,300円)、うどん定食(500円)等々。どれも地元の野菜をふんだんに使ったヘルシーなメニューです。キレイな空気と健康的な食べ物。体の中からどんどん健康になっていく感じが実感できますよ!
風和里から数百メートル山を登ったところにある『渕名(ふちみょう)展望台』。ここは地元の方が手作りした展望台です。この展望台からの景色も格別。雲がなければ、はるか淡路島も見えるそうです。
展望台の後ろには、茅(かや)を束ねて乾かす場所があります。この茅を束ねてつみあげたものを『コエグロ』と呼ぶのですが、これを畑にすき込んでこやしにするそうです。
この渕名地区で行われる農業は『傾斜地農業』と呼ばれ、その名の通り急な傾斜地で農業を行います。
土が流れていかないような工夫であったり、斜面で水はけが良いので適度に土を保湿する工夫であったり。そんな『傾斜地農法』のルーツはなんと縄文時代というから驚きです。『傾斜地農法』の歴史と貴重性が認められ、昨年にはユネスコから『世界農業遺産』に認定されました。これってスゴイことです!
いくら眺めていても飽きない景色...ああ、良い気分...ああ、また来よう!(^^)
さいごに...実はばあちゃん、ゴルフが趣味(^^;)
いつも庭でゴルフのアプローチやパットの練習をしています。まれにですが『誰もおらんけん』と豪快にドライバーで谷の方向へ打ちっ放すことも。ボールはどうやって回収するの?(^^;)
展望がよくキレイと評判な『四国カントリークラブ』へは『柚の里 いづみ』からクルマで20分の距離にあるので、ゴルフ好きの人はぜひゴルフも楽しんでください!
また、この地域には『日本一の清流 穴吹川』が流れています。興味のある方はこちらもどうぞ!
『徳島は家族におすすめ! 日本一の清流 穴吹川で楽しむ日帰りコース!』
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