こちらが神勝寺 禅と庭のミュージアムの入り口です。
一見、一般的なお寺にしか見えませんよね。
総門から入り、まずは受付を済ませましょう。
総門か敷地内へ入ると左手に三角形の帽子をかぶったような建物「松堂」が見えて来ます。
こちらで拝観料(1,200円)を支払います。
ちなみに境内には食事処やお茶処、温泉などがあり、そちらとセットになったお得なチケットも購入することができます。
当たり前ですが、絵馬を発見。なぜだかとてつもない違和感を感じる...。笑
約7万坪もあり、東京ドームに換算すると約1.5個分!
広大な敷地内は驚くほど手入れがされており、ただただ美しい。
たくさんの自然に囲まれた中に移築された歴史ある建築物や建築家による作品が点在しています。
まずは敷地内を散策。
境内には池もあり、中央には道場奥にある「大徹堂」へと繋がるアーチ状の橋がかかっています。
大徹堂は非公開ですが、修行を行う場であり、坐禅をする場所である「単」が四方にわかれた、国内でも数例しかない配置となっています。
また「起きて(坐禅をする時)半畳、寝て一畳」という言葉があるように、修行道場で修行者に与えられるスペースは一畳に限られています。
神勝寺は建物や習慣から禅への意識を深める場所であり、実際に修行僧の体験をすることができる場所でもあります。
実際に修行僧の体験ができる場所がこちらの「五観堂」。
修行僧の食事作法で「神勝寺うどん」(1,200円)をいただける場所です。
建物周囲はたくさんの緑に囲まれとても静か。耳を済ませすと風で草木が揺れる音と川のせせらぎが静かに聞こえて来ます。
名物「神勝寺うどん」を頂く前に独特の作法を学ぶことからスタート。
3枚に重なった器と太くて長い「雲水箸」の使い方を教えていただきます。
もちろん強制ではないので、自由に食べていただいてOK。
そして約20分ほどで運ばれて来たのが大きな桶に入った「神勝寺うどん」。
うどんの日はおかわりも自由で修行僧にとっては一番のご馳走なのだそう。
※こちらはお代わり不可。
箸にかなり違和感がありますが、太いうどんは食べ応え抜群!
修行中の身なのでめちゃくちゃ質素かと思いきや、薬味や旬の一皿もついています。
さらに締めのご飯付き!
うどんを食べた後のつゆに浸して頂きます。
薄まったつゆがちょうど良い濃さになり、食べやすい!
最後はたくわんでお椀を拭いて元の状態に片付けて終了です。
五観堂を出た先には茶屋があり、コーヒーやソフトクリームなど喫茶メニューを楽しむこともできます。
お抹茶と和菓子がいただける「秀路軒」や休憩処もあります。
ちなみに境内の道は舗装はされていますが、砂利道だったり起伏があったりと決して足場が良いとは言えないので、スニーカーがおすすめです。
どこぞのちんちくりんのように「境内だから平坦でしょ〜。」と油断してサンダルで来てはなりません。
いよいよ山の中へ突入した頃に現れたのが「一来亭」。
こちらは利休が「極限の茶室」として1畳台目の茶室を営んだ建物を復元したもの。
写真2枚目、長方形の小さな入り口から一畳台目の茶室を確認することができます。
茶室を後にして道を進むと突然現れた広場。
ここにはロバが一匹います。その名も「一休」。
お寺の境内にロバがいるのは、ここ神勝寺だけではないだろうか...。笑
そして見えて来たのが、神勝寺の見どころの一つでもある「無名院」。
こちらに併設された「荘厳堂」では達磨でお馴染み、江戸時代中期の禅僧、白隠慧鶴(はくいんえかく)のコレクションが展示されています。
こちらでは国内で約200点の規模を有すコレクションを随時入れ替え展示しているため、何度訪れても楽しめるようになっています。
水墨画で描かれた凄まじい迫力とユーモアを感じる作風は人々を惹きつける魅力を感じます。
展示室は小規模ながら観賞用のベンチが設置されている他、
腰を下ろしてゆっくりと作品を鑑賞することができる広場もあるので、思う存分白隠の作品を堪能することができますよ。
こちらにもちょっとした休憩処があり、広島の特産物であるレモンを使用したレモンサイダーGmotto(地元)をいただきました。
本堂のある無名院は境内の最も高い場所に位置しているため眺めも最高です。
本堂へ向かう前に庭へ目を向けると見事な枯山水庭園が広がります。
こちらの作品は造園家・作庭家である中根金作の作品であり、これほど規模の大きなものは国内有数なのだそう。
一休さんが雑巾掛けをしている光景を想像しながら、磨かれた廊下を歩き、本堂へ。
ひんやりとした建物内の奥、本尊には浜田泰三作の弥勒菩薩像を安置されています。
めちゃんこ神々しい!というよりは清らかな空気が漂い心がすっと軽くなるような雰囲気でした。
また300畳を超える本堂内では自己の研鑽の場として写経や座禅などを体験することが可能です。
実は境内の山道は2パターンあり、こちらの階段から登って無名院を訪れることも可能です。
今回は左回りに参拝したので、降る形となりました。
手水舎の斜め向かいにある「鐘楼門」には鐘がつるされており、誰でも自由に鐘をつくことが可能です。
鐘の音を聞くことで、心の安らぎと心地よい緊張感を感じることができますよ。
山頂から下り戻って来たところで池のほとりで蛇の求愛を発見。
なんだかご利益をいただけそう。笑
驚くことに神勝寺には浴室があり、800円で入浴することが可能です。
浴室は修行道場の必須とされる七堂伽藍建築(山門・法堂・仏殿・禅堂・庫裡・東司・浴室)の一つで、建物内には跋陀婆羅菩薩も祀っています。
たくさん歩いたので休憩に茶屋へ。
浴室隣にある「含空院」は築350年以上が経過した茅葺の茶屋。
ライブラリーも併設され、書籍やパンフレットは自由に閲覧することができます。
畳の広がる和室でいただくのは煎茶粟餅セット(800円)。
濃厚なあんことほんのり甘いきな粉がまぶされた粟餅はたくさん歩いた疲れを吹き飛ばしてくれますよ。
こちらでもちょっとした禅の体験をすることができます。
煎茶のおかわりは釜に入ったお湯を急須に移すことから。
こぼさぬよう精神統一しながらいただきましょう。
さぁ最後は神勝寺のメインとなるアート作品である「洸庭」へ向かいましょう。
こちら内部の拝見は時間が決まっており、毎時00分と30分に一度の入れ替え制ですので、時間を間違えぬよう注意が必要です。
境内にかかる専用通路から道路をまたいで3分ほどで到着です。
現れたのは全長46mの巨大な木製の方舟。
とにかくその迫力がすごい!庭園の中央に浮かぶように建つ「洸庭」はまるでノアの方舟のよう。
作品は彫刻家である名和晃平氏が率いるクリエイティブ・プラットフォーム「SANDWICH」が企画、設計したもの。
周囲は緑豊かな自然に囲まれており、ぐるっと見渡すことができます。
見渡している際、地面から伸びるチンアナゴを発見。
その正体はソテツワラビ。こちらも作品の一部です。
時間が来たので内部へ潜入!内部は撮影録画はNG。
お伝えできないのが残念ですが、船の内部は海原が広がり静かに波の音も聞こえて来ます。
そこから光と波が変化を繰り返し、言葉では表現できない奥深い禅の体験をすることができました。
私個人は「(暗闇のため)私は何を見ているんだ...」という戸惑いから、
いつしか無心にその景色を見つめ、五感で感じとるという、今までになり初めての経験でした!
神勝寺を後にする前に「松堂」にて土産物を見ることに。
こちらにはお守りを始め、ポストカードや白隠慧鶴に関するグッズも販売されています。
季節のよっても様々な顔を見せてくれる神勝寺、お寺の方のイチオシは真っ赤に染まった紅葉に囲まれる秋なのだそう!
神勝寺は美術や芸術が好きな方だけでなく、自然に触れたい方やちょっとしたドライブを楽しみたい方にもおすすめ。
話題の神勝寺 禅と庭のミュージアムで禅の世界を堪能してみてはいかがでしょう。