北部九州の人は名前くらいなら聞いたことのある離島「対馬(つしま)」。
その昔、対州国と呼ばれ、海外と日本との交流拠点となってきた歴史的にものすごく価値のある国境離島です。
壱岐を挟んで福岡県の真上にありますが、実は属している県は長崎県!
島の形は縦に長細くて、端から端への移動には4時間以上かかるという、沖縄のようなアクセス感覚があります。
対馬へのアクセス方法は2通りあります。
ひとつはフェリーor高速船で、福岡の博多港〜対馬の厳原港まで行く方法です。
もうひとつは福岡空港から対馬空港まで飛行機で行く方法です。
フェリーだと4時間、高速船だとその半分の2時間ほどで到着しますが、船賃も2倍の金額になってしまいます。
対馬旅では、「十分なスケジュールを確保して行くこと」と「目的地をあらかじめ決めておくこと」をおすすめしています!
なにせ対馬はとっても広い!
移動で時間が取られてしまうので、ルートやレンタカーの手配などしっかり準備をしておきましょう。
今回わたしは、博多港から厳原港まで【夜行フェリー】を使ってみました!
夜行フェリーは、夜の24時頃に出発し、翌朝の5時30分頃に到着する便で、大広間のようなスペースに乗客全員で雑魚寝をします。
対馬に近づくたびに船の揺れが増すので、酔い止めを持って行くことをおすすめします!
厳原港から歩いて行くこともできる「萬松院」にやってきました。
こちらはなんと、国指定史跡!
対馬府中藩第2代藩主の宗義成が、父・義智の供養のために創建した菩提寺(先祖代々のお墓を納めているお寺のこと)です。
これまでの日本の外交発展は、対馬の島民の力がなくてはあり得ないとわかるほど、元寇・倭寇・朝鮮出兵と、激動の時代を迎えていました。
その中でも対馬藩主の宗義智は、豊臣秀吉により朝鮮出兵を命じられ、秀吉が亡くなるまでの6年間戦い続けました。その後、新たな天下人となった徳川家康は国内外の安定を望み、義智に朝鮮との国交回復を命じました。
朝鮮との国交回復の功が認められ、対馬藩初代藩主となったという経緯。
なんとも波乱万丈な人生を送っている人ですね・・!
しかし、この人がいなければ、朝鮮国との国交がもっと悪化していたかもしれません。
あなたも萬松院を訪れたら、この方のご冥福を祈りましょう。
お堂を出ると、百雁木(ひゃくがんぎ)と言われる石段が現れます。
132段もあるので、歩きやすい靴で上りましょう。
この石段を上った場所に宗家一族の墓所である「御霊屋(おたまや)」が鎮座しています。
とても大きなお墓がずらりと並んでいる光景には、荘厳な雰囲気を感じます。
なんと規模は大大名なみの規模とのこと。
日本三代墓地のひとつとも言われるほどの名所です。
確かに、わたしもこの光景にはかなり圧巻さがありました。
神聖さを感じるので、静かに立ち見入りしましょう。
この墓所の手前には、樹齢1200年と言われる大スギがなんと3本もあるんです!
145cmのわたしが20人いても足りないほどの大きさ・・
1200年も生きているなんて、かなりの長寿ですね!
もっともっと成長を続けていきそうな予感です。
対馬一の樹齢を誇る大スギに触れて、大自然のパワーを分けてもらいましょう。
わたしはじっくり見物をしていたので、およそ1時間かかりました。
人によっては30分でさっくり帰ることもできるかと思います。
墓所のある幽玄な雰囲気をゆっくり味わうことをおすすめするので、最長1時間くらいで時間の確保をしておくのがおすすめです。
萬松院から車で1分ほどの場所にある「観光情報館 ふれあい処つしま」は、対馬の観光物産情報の発信拠点をしている場所です。
対馬藩の家老・古川家の「長屋門」を再現した建物では、対馬の物産を販売したり、対馬名物の食堂があったり、対馬の観光情報を知ることができたり、対馬旅をする前に寄っておくとおもしろい情報が手に入るかもしれません!
施設内には、「観光案内所」「観光の間」「特産品の間」「体験憩いの間」「多目的広場」、24時間トイレなどが設置されています。
ちょうどお昼時だったので、今回はランチのために立ち寄りました。
地元の食堂のような雰囲気の食事処と、島のおばちゃんたちに気分はほっこり。
対馬のグルメは本当に美味なんです。
海流、水質の良さから獲れる魚はとっても美味しくて、特に、穴子の漁獲量は日本一を誇るほどのブランド品になっています。
メニューをパラパラめくっていると、ものすごく気になる料理が見つかりました。
なんと「鹿ハンバーグ」!
「イノシシ」は結構どこでも聴きますが、「鹿」のハンバーグは見たことがありません。
対馬は山がかなり多く、イノシシや鹿の数がとても増えているそう。
地域おこし協力隊の方の協力により、最近はジビエの商品開発なども手掛けているそうで、観光の入り口になるふれあい処でも鹿肉を取り扱うようになったそう。
豆腐を混ぜてつくっているハンバーグは、鹿のにおいやクセなどは全くなく、白米といっしょに美味しくいただくことができます!
抵抗がある人もいるかもしれませんが、鹿を使った食堂・飲食処は対馬の中にも数えられるほど。
是非、この機会にチャレンジすることをおすすめします!
(実物の写真を撮り忘れちゃいました!すみません!)
ふれあい処つしまから車で約2時間、木坂というエリアにやってきました!
木坂は、対馬のちょうど中間左に位置するエリアです。
このエリアに社を構える「海神神社(かいじんじんじゃ)」へ参拝をしにやってきました!
海神神社は、古くは神功皇后の旗八流を納めた地として八幡本宮・対馬本宮と号され、「対国一ノ宮」と称されました。
一ノ宮とは、神社の中でも最も社格の高い神社を指します。
現在対馬の神社の中でも観光地として有名な「和多都美神社」の呼称をもともと使っていた海神神社は、国弊中社に列せられた由緒ある神社として知る人ぞ知る名所なのです。
(「海神」は「わだつみ」と読むことができます)
高めの石段が境内へつながっており、上るのはやや一苦労・・!
歩きやすい靴で上りましょう。
石段をすべて上り終えると、厳格な雰囲気のある本殿が現れます。
自然に囲まれていて、とても静かな神聖な場所です。
お賽銭箱までの石段がやや高めなので、怪我をしないように気をつけてくださいね。
海神神社を下り、西方向にある木坂展望台へ向かいます!
展望台の駐車場に停めて、看板にしたがって山道を少し上ります。
展望台まで10分ほどなだらかな山道を上るので、日が落ちない時間に向かうことをおすすめします!
対馬といえば、ぽこぽことした山がいくつもつながっている風景が印象的です。
どこの展望台に行ってもその光景を見ることができますが、
木坂展望台ならではの光景といえば、このゴツゴツ削り出たカーブを描く岩肌が見れることでしょう。
ものすごいスケールに大感動です!
風も気持ちが良く、運動と大自然の風景で体も心もリフレッシュされますね。
日本の中でも対馬のような地形の場所はないので、まさに「対馬ならでは」と言えます!
木坂エリアから車で2時間半ほど、本日の宿「宿坊 対馬西山寺」へ到着です!
西山寺は江戸時代から明治にかけて、朝鮮との外交機関が置かれていた由緒ある臨済宗南禅寺派のお寺です。
厳原港を一望できる高台に位置する宿坊は、元々は僧侶のみが宿泊できる場所でしたが、近年寺社文化の体験ができる場所としてニッチな観光客の間では話題になっています。
駐車場がわかりにくいので、一度宿のスタッフへ尋ねてから駐車をしましょう。
本当にお寺ですね。
お寺に泊まる日が来るとは思いませんでした。
背筋がピシッと伸びます。
チェックインをしてから、部屋に案内されました。
お部屋は和風の素朴なお部屋です。
木造だからか宿の中にやや音が響きやすいので、静かに行動をしましょう。
お風呂や洗面所は他のお客さんと共同で使用します。
お風呂は朝夜の決まった時間に大浴場が利用できるので、朝風呂・夜風呂どちらにも対応しています。
今回は、座禅と朝食付きのプランにしてみました。
座禅は朝の5時30分からお堂で始まります。
朝食は朝7時から食べることができるので、その日のスケジュールに応じて行動をしましょう。
座禅は参加自由で、チェックインの時に参加の可否をお宿の人に聞かれます。
毎日参加するもよし、1日だけ参加するもよし。
スケジュール次第で是非参加することをおすすめします!
朝の静かな清廉とした空気、小鳥のさえずる声で、心と頭がすっきりとなります。
宿には門限の時間があります。
離島なので、そこまで遅くまで行動することはないと思いますが、夜遅くまで飲み歩きたい方は予約するときは要注意です。