「そうだ、京都に行こう」
相方がどこかで聞いたことがあるフレーズを発した。
なぜと問うと、日本のふるさとじゃないと言い返す相方。
それに君の育った街を見てみたいのだとかわいいことを言う。
「今週末いこう」
気を良くした私は早速新幹線のチケットを確保。
こんな気分の良い日はグリーン車に乗ろうではないか。
京都といえば抹茶だという人に言いたいことがある。
甘い、浅い、くだらない。
京都といえば実際はすき焼きなのである。
すき焼き食べずして京都は語れないのである。
到着し、観光はそこそこに夕食に向かう。
相方にはこの魅力を知ってもらわねばならぬ。
そう思い、食い意地が人一倍強い相方の性格、好きな食べ物、傾向からスペシャルな誘い文句を導き出し、声をかける。
「すき焼き きむらっていうすき焼きの名店があるんだけど、行かない?」
無類の肉好きである相方にはこの程度のシンプルさがちょうどいい。
大きく頷く相方の手を引っ張り、私は寺町通りを目指す。
すき焼き きむらでは自分ですき焼きを完成させる。