大通りから1本裏の通りで、怪しげな細い階段を上ると到着する「サナトリウム」。
通り過ぎてしまいそうなくらい小さな入り口だが、階段の脇に申し訳程度に看板が出ている。
勇気を出して階段を上ろう。
階段を上った先には、まるで診療所の入り口のような曇りガラスのドア。
小さい頃通った皮膚科の入り口ってこんな感じだったなと、幼き日に思いを馳せる。
と同時に、「ここ大丈夫か…」と、第六感がヒンヤリ。
何事も経験と自分に言い聞かせ、いざ入店。
お出迎えしてくれるこのオブジェはトリ×ネコの「トネリコ」。
まんまるなフォルムがなんとも可愛い。
うしろにずらりと並ぶのは、本期間の展示美術。
展示は数ヶ月ごと入れ替えられるようだ。
着席して広がるのはこんな風景。
聴診器を掛けたペンギンさんや、顕微鏡写真のようなポテチ…⁉︎
不思議な形のカップは「根カップ」。
ガラス製は3,000〜5,000円、陶器のものは5,000円以上で販売している。
見たことがないその形に惹かれて、お土産に買って帰られる方も多いのだとか。
お冷やは、花瓶のようなビーカーのような入れ物に注がれて出てくる。
きちんと洗っており清潔だとは分かっていても、理科室感・実験感が拭えず最後まで飲めなかった。
1回10円で遊べる「人体パズル」もあった。
お料理の提供待ちに遊んでみるのもいいかもしれない。
筆者は表情が怖くて勇気が出なかったので、眺めるだけに留めた。
スイーツは、手術の時に使われる皿に根カップを置いてご提供。
左が「サナトリウムプリン」(800円)、右が「ホムンクルスゼリー」(800円)。
ドリンクとのセットは1,200円。
おいしいのだが、実験でゼラチンを固めたような想像をしてしまう…
ちなみにクリーム色の「トネリコチョコ」は歯が鍛えられるくらい固い。
こちらの半個室は、4体の人体模型くんに見つめられながらくつろげる。
(くつろげるかどうかは貴方の精神力次第)
テーブルは、藻が生えた器にガラスの天板が付いている水槽のようなもの。
何だか怖くて試しに触ることすらできなかったので、遠目からパシャリ。
照明は、ドラマの手術室でよく目にする「無影灯」。
読んで字の如く、影が出ないようにものを照らすライト。
病院などを改築したものなのか尋ねると、造形作家のオーナーがイチから造ったものだそうだ。
1回200円のガチャガチャ缶バッチはお土産最適。
筆者はまったく同じ骸骨くんを2回連続で当てるという引き運の強さ(?)を見せた。
お兄さん(名札には「偽院長」とあった)のお話が面白く、気付けば2時間ほど居座ってしまった。
摩訶不思議な雰囲気だったが、去る頃には愛着が湧いてきて、一抹の寂しさを感じた。
福岡・天神の旅のアクセントとして、サナトリウムの不思議すぎる雰囲気に浸ってみてはいかがだろうか。