皇居周辺に位置する国立近代美術館。
近代化が進む時代の流れのなかで、芸術家は日本の美の文化と異文化である西洋の美術のいいところを取り入れようとしました。
そんな芸術家の心が揺さぶられるアートを目にすることができるのが、この美術館です。
今回は、この美術館にとある”面白い”企画とガイドがあると知って、足を運んでみました♪
それが、「MOMATOコレクション」です。
およそ三ヶ月ごとに200点あまりの所蔵作品を展示する企画です。
それは江戸時代から現代に至るまでのアートを、いっきに目にすることができます。
また、ただ鑑賞するだけではなく、耳で聴いて感じる展示も用意されています。
プランを執筆している現在では、萬鉄五郎の『裸体美人』(1912年)や、
原田直次郎の 『騎龍観音』(1890年)を目にすることができます。
チケットを購入すると、工芸館の入館券も一緒についてきます。
まず最初に目にしたのが、原田直次郎 の『騎龍観音』です。
暗い部屋の真ん中に、この絵画が展示されています。
目にした瞬間、その勢いに圧倒されました。
幻想的なイメージで、観音と龍をものの見事に威風堂々とした姿に描き上げています。
なんとも存在感があり、しばらくこの絵画の前で立ち止まってしまいました。(笑)
ほかにも、中村彝の『エロシェンコ氏の像』も重要文化財なので見ものです。
私が一番感激したのは、川端龍子の『草炎』でした。
まるで炎の中に人の目があるように見え、どうして擬人化したのかと疑問に思うこと5分…。(笑)
その謎はとけませんでしたが、このように考えさせられる絵画がたくさんあります。
同じ4階には、見晴らしがきれいな休憩室があります。
この日は雨が降っていましたが、晴れている日には竹橋の高層ビルが立ち並ぶ様子がはっきりと目にできて、とっても綺麗です。
写真3枚分ぐらいのスペースがあるので、ここでゆっくりしていってもいいですね。
続いて2室~4室に移ります。
こちらでは明治の終わりから昭和の初めまでの作品を目にすることができます。
作家である高村光太郎は、荻原守衛と共に力強い彫刻を日本に伝えました。
あなたは『手』を見て何を思うでしょうか。
私もポーズを真似してみたのですが、意外と難しい!手が釣りそうになりました。
もし機会があれば、マネをしてみてみてください。
思ったより難しいことに気づくはずです。
写真4枚目、里見勝蔵の『女』も印象的でした。
体の一部が薄暗い部屋と同化し、その一方で力強い体の曲線が描かれています。
ちょっぴり怖いような、しかし何かを悟られているような気もして、何度か見てしまいました。
木版(写真5枚目)は日比谷公園や隅田公園など、当時の風景がよく表現されています。
5室には戦争の時代と共に生きた動物たちの銅像や、絵画が飾られています。
写真1枚目は朝倉文夫の『凝視』です。
獅子が天を仰いでいますが、なんだが難解な顔をしています。いったい何を考えているのでしょう。
先程も書きましたが、このように一人で鑑賞をしていると、あれやこれやと考えすぎてしまい、モヤモヤしていまいます。
そんなときは、「MOMATガイドスタッフによる所蔵品ガイド」で、周りの鑑賞者やガイドさんとお話しをしてみましょう。
元々はニューヨーク近代美術館 (MoMA)が認知心理学者とともに産み出した思考法らしいのですが、
いつもとは違った視点でものを考えたり、作品を感じたりすることで新たな発見ができるかも⁉
6室~7室は”不安な体”というテーマのもと、展示がされています。
ちょうど太平洋戦争~第2次世界大戦のの頃、国民の心は強く揺さぶられました。
いつどうなってしまうのか分からない―まるで心にぽっかり穴が空いたような感情を示している彫刻があります。
例えば写真2枚目は着色ブロンズのバーバラ・ヘップワース『待っている四人』です。
この4つのブロンズには妙な曲線が表現され、まるで人間がたちがっているかのよう。
あえて題材に「何を」待っているかを入れていないので、こちらも同様にMOMATガイドが利用できそうです。
そしてこちらのフロアで異音が響いていると思ったら…写真四枚目のブルース・ナウマン『コーナーで跳ねる No.1』でした。
とある男の人が、部屋の隅でバウンスしています。
耳を澄ますと、鼓動の音のようにも聴こえるこの作品。
迫りくるバウンス音に、ちょっぴりドキッとしてしまいました。
また、目の錯覚を利用した桂ゆきさんのキャンパス作品もありました。
4階を一通り見終わり、下へ下っていくとゲオルク・バゼリッツの『自画像I』(写真3枚目)に出会いました。
一見、写真反対じゃないの?と思いがちですが、実はこれ、そのままの向きが作品なんです。”おかしい”をコンセプトにしたこの絵。戦後、冷戦状態であった国のなかで、違和感を持ちながら生きながらえたゲオルクの感情が表現されているのでしょうか。
おかしいは、”funny""や"excited"という解釈の方法もあります。不思議ですね。
そして4枚目、私が幼いころから好きだった、奈良美智の作品『Harmless Kitty』にも出会えました!
思わずパシャリ。
写真1枚目は、草間彌生の作品です。『冥界への道標』というタイトルで、あのカラフルなイメージを持ち合わせたいつもの印象とは異なった、立体的なこの作品は、当時の彼女の強迫観念を描いています。
写真2枚目は、赤瀬川原平の『患者の予言(ガラスの卵)』です。
真空管やゴムチューブなどで、ヒトの体内や下着を豪快に表現しています。”恥ずかしいことから目を背けない”というのが彼の信念だったようです。
そして、暗い別室にモニターで映し出されていたのが、高嶺格の『God Bless America』。
動物が何やら会話をしています。私は途中から見たのですが、先ほどの部屋の隅で跳ねる人間と同様、何重にも解釈できる映像でした。
展示室を出てから目にしたのがこちら。アントニー・ゴームリーの『反映/思索』です。
窓を境にして銅像が立ちすくんでいます。
こちらは反射しているのではなく、実際に外にも銅像が一体立っているのですが…
まるでもう一人の自分を映し出しているかのようです。
こちらも音声ガイドと、スタッフさんや鑑賞者と対話して楽しむ形になるので、体全体で作品を感じてみてください。
いかがでしたか?
国立近代美術館は、いつ行っても五感を使って楽しむ工夫がされているので飽きないです。
皆さんもぜひ、「MOMATコレクション」を楽しんでみてくださいね!
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