本日は近鉄奈良駅へ!
奈良といえば東大寺や奈良公園、五重塔に鹿ですよね!
いやいや、まだまだ魅力があると建築マニアの私ちんちくりんは知っていた...。
それがこちらの旧奈良監獄(別名 奈良少年刑務所)!
見よ!これの美しい赤レンガの外壁を!
明治41年に建てられたこちらは監獄の国際標準化を目指し造られた「明治の五大監獄」の内、原型を留めた唯一無二の存在として、重要文化財に指定されています。
また、その美しさから「明治時代の美しすぎる刑務所」などの呼び名がついています。
JR奈良駅西口11番のりば・近鉄奈良駅2番のりばから奈良交通バス「般若寺」下車して徒歩3分と駅からも1.5kmほどしか離れていません。
3年前まで実際に使われていたのですが、老朽化や耐震性の問題から2年前に閉鎖。
その後、某有名ホテルが買い取り、2021年を目処にホテルとして生まれ変わることになりました!
私ちんちくりん、2年ほど前から存在を知ったのですが、その時には既に遅し...。
その美しすぎる建物の中に入ることができず、門の前しか拝めなかったのです。
今回はホテルに生まれ変わる"最後の見学会"として2019年11月23日~25日に開催された「奈良 赤レンガFESTIVAL2019」にお邪魔してきました!
イベントと同時に監獄資料館がプレオープン!
旧奈良監獄の歴史から当時の記録まで貴重な資料がたくさん展示されていました!
こちらには旧奈良監獄全体の模型もあり、建物全体を上から見ることができます。
山下啓次郎氏が設計を手がけた旧奈良監獄は当時では珍しいロマネスク様式を取り入れ、積み上げられた赤レンガは実際に受刑者が焼いて作ったものを使用しています。
また中央に中央監視所を置き、そこから放射状に伸びた収容棟が特徴で、上空から見ると5棟が放射線状に美しく伸びる様子を確認することができます。
資料館を満喫した後は中央の庁舎へ。
受刑者たちが切磋琢磨して積み上げた赤レンガが美しく積まれた廊下を歩き、ふと柱を見てみると受刑者の逃亡を防ぐためか有刺鉄線が巻かれていました。
美しさと反比例するように存在する"逃げ場のない現実"が受刑者たちを取り囲みます。
旧奈良監獄といえば、放射状に伸びた収容棟が有名ですが、その周辺にも棟がいくつもあります。
旧奈良監獄は人権の尊重と充実した更生プログラムを導入していて、職業訓練や学習指導の他にクラブ活動も行なっていたのだとか。
周辺の棟には黒板が設置された教室のような部屋もありました。
また医療施設も充実しています。
歯科治療室や調剤室、医務室、診察室など受刑者たちの更生には健康が不可欠と考えられていました。
ここまで見て回った感想は「まるで学校のよう」ということ。
当時これほどまでに充実した施設を備えた少年刑務所はほとんど存在しなかったのだそう。
カラフルなドアが並ぶこちらは出所前の受刑者が最後の時間を過ごしていた場所。
他の部屋よりも広く、そして作りが綺麗です。
また鍵も内側からかけられるようになっており、自由に出入りができたのだそう。
そして受刑者が更生プログラムの一環で取り組んでいたのが作業場での作業。
旧奈良監獄は明治に建設されましたが、その後、作業場が昭和に増築されました。
こちらも老朽化や耐震の問題で2階部分は非公開となりましたが、梁に名前を書くなどして受刑者が出所後職に就けるよう支援していた痕跡が残っています。
建物外へ出ると巨大な塀が敷地をぐるっと囲むようにそびえたています。
かなりの高さがありますが、当時脱走した人もいたのだとか。すごい執念。
運動場近くには自力更生の石像も設置されていました。
建物を外から眺めるとここだけ海外のよう...。
そして旧奈良監獄の見どころといえば、中央から放射状に伸びた収容棟が配置されている「ハビランド・システム」。
中央に設置された見張り台からは5つの棟を監視することができ、さらに吹き抜けになった1階の様子も監視することができます。
海外映画に登場する刑務所にそっくり。日本ということを忘れてしまうほど。
まっすぐ放射状に伸びた棟の左右には扉がいくつも設置されていて、吹き抜けとなった1階天井からは2階の様子を眺めることができます。
床の石は耐摩耗性に優る花崗岩が使用され、多くの受刑者が一斉に歩いてもビクともしない強固な作りなっています。
ホテルとしてオープンする際、ここは耐震改修工事を経てこのまま使用される予定です。
居室の扉は分厚く強固なものとなっていて、ぶち破ることは難しそう。笑
扉には監視窓や食器口が設けられていて、いかにも独房といった雰囲気です。
その広さ1.5畳ほど。あまりにも狭すぎる空間に絶句。
人権を尊重していたとはいえ、ルールを守らなかった者には刑罰する場所があります。
"マル坊"と呼ばれるここはルールを破った処罰者を収容していた場所。
内部壁には受刑者たちの"叫び"が刻まれています。
悲痛な叫びかと思えば、落書きや願望も多く、少年らしさも伝わります。
敷地内には隔離病舎と呼ばれる精神患者を収容するものもあります。
鉄格子に鉄扉など、想像しただけでゾッとするおぞましいものもあります。
その他、ギス檻は江戸時代に使用されていた牢舎も資料として設置されていました。
3年前まで使用されていたとあって、廃墟感と当時の気配を感じて感無量!
通常は非公開ですが、完全な修繕改良工事に入る前に今後も一般公開イベントがあるかも!?
2021年を目処に新たにホテルとして開業する予定なので、そちらも楽しみですね。
旧奈良監獄の今後の動きに注目です!