お昼時を外した14時頃に訪れても満席、待ちは3人ほどだった。
12時頃のピークには10人ほど並ぶこともあるそうだ。
しかし回転率が高いので、そこまで待たずに入れる。
並んでいる間にお姉さんが注文を聞きにきてくださる。
注文の9割5分は黒カツカレーのようだ。
それ以外の注文ははっきり伝えた方が良さそうだ。
期待が膨らむ。
ドン!
見よ、このボリューム。圧巻である。
いまだかつてこんなに美しい黒カレーの海を見たことがあろうか。(反語)
「カレーライス」と称するからには、もちろんご飯とも合わせて食す。
この立ち込める香り、味わってほしい。
そしてこのカツ。
サクサクと軽快な歯ざわり、滲み出る肉汁。
濃厚なカレールーは、カツの相棒とも言うべきソースを凌駕したハーモニーを奏でる。
カレー・ライス、カレー・カツ、カレー・カツ・ライス…!
飽きも来ず無限に楽しめる完全体なる一皿。幸福な降伏。
お会計の際、お店のおばあさまに「ちょっと待ってて」と手をギュッと握られた。
「これでお口元拭いてね」と紙ナプキンを手渡してくれた。
恥ずかしながら、一心不乱にカレーと対峙した結果、口のまわりがカレーだらけだったようだ。
にこやかな笑顔と触れながら「ごちそうさまでした!」と言って出る神保町の街は、いつもより晴れやかに見えた。