京都一乗寺にある奇妙なお寺、狸谷山不動院。
洛北を一望できる本堂の舞台など魅力いっぱいの山寺ですが、なぜか信楽タヌキが「集まってきている」不思議スポットでもあるのです。
参道から舞台まで、タヌキの見どころを網羅した「けいおうタヌキ研究所」のガイドブックとならさらに楽しめます!
出町柳から叡山電鉄で約10分。ラーメンストリートなどで最近はグルメの人気スポットでもあります。
市内から少し離れたのどかな地域。山沿いにはお寺や離宮など名所が並ぶエリアです。
詩仙堂 一乗寺下り松の記事もぜひ。
詩仙堂を通り過ぎて,さらに山を登ったところにあるのが、この狸谷山不動院!
入り口には、独特の表情をしたタヌキがお出迎え。
このタヌキも、実は「オフィシャル」のたぬきではないのです…!
18世紀に、朋厚房正禅法師という僧がおりました。若くして禅、律、真言、天台の四宗の要義を学び、高野山にも登った彼が、
次なる修業の場を探していたところ
当時洛北一乗寺村の狸谷と呼ばれるところにある洞窟の話を耳にします。
その洞窟は、1249年に安置されたと伝えられる尊像が当時まで風雪に晒されながらも輝きを保っていました。
さらに17世紀に宮本武蔵が滝行によって克己心を得たという話も知り、
この地に霊験を感じました。31歳の時、ここで籠って修行をすることを決意。
狸谷が開山されます。
以降、困難を乗り越えてなんとか法力を得るに至り、また狸谷山修験道が確立します。
そしてその狸谷山修験道のご本尊として、法師が新たに自ら刻んだ石造不動尊像を据えました。
それ以降、村人の信仰の拠り所であると同時に、各地から修行の場として参籠者が集まります。
つまり、本来はタヌキが祀られているわけでもない、修験道のための山寺。
それが、なぜだか20世紀に入って以降、寺に信楽タヌキが集まってくるようになったのです…
信楽タヌキの存在は、お寺もつい最近までオフィシャルに認めてこなかったので、お寺のHPにも詳しいことが載っていません。
そこで、信楽タヌキの謎に迫りつつこのお寺を何倍も楽しむにはこの本!
この本は、けいおうタヌキ研究所さんが自主出版している本なのです。
けいおうたぬき研究所とは…??
慶応義塾大学の考古学専攻を卒業し、卒論でこのお寺の場の形成を書いた方が中心に活動する「けいおうタヌキ研究所」!
現在は「信楽タヌキ」やタヌキと関わりのある場を中心に、
●調査・研究
●記事の投稿
●パンフレット・ポスター等の制作
●イラスト・キャラクターの制作
なさっています。
このリンクから狸谷をテーマにした卒論、研究発表の資料も見ることができます。
NOTEもあるよ
狸谷で無料配布されているパンフレット「『信楽タヌキ』から見る狸谷不動院」も、このけいおうタヌキ研究所さん作!
そんな密な関係を築いてきた狸谷の貫主様とタヌキ研究所が、
2019年四月下旬、この狸谷山不動院にてお寺と信楽タヌキの歴史を語るトークイベントを開催されました!
ライブでは、このタヌキたちは本当に「自然発生」的に集まってきたということ、
さらに信楽タヌキのデザインは世間のニーズに合わせて少しずつ変わってきていることなど…
貫主様も知らなかったことをタヌキ研究所さんが語ってくれました。
イベント当日は、企画として山伏タヌキが参道などに配置され、なぞなぞを出題してきました。
こんな風に、バラエティーに富んだタヌキが、お寺のあちこちに並んでいるのです!
タヌキ研究所さんのご案内に沿って、いくつか見どころを紹介していきましょう。
たとえば入り口。
狸谷山不動院の石碑のふともにこんな感じで一番たくさん集まっています。お寺の顔という感じですね。
飲食店の玄関先でお馴染みの形から、もっと生き物の狸に近いもの、さらによく見てみると、ぺちゃんこの平たいタヌキまで…
信楽タヌキの奥の深さを感じることができます。
全部で250段ある石段。今何段だよ~とタヌキが案内してくれます。
なお、この石段は明治時代に地域のみなさんの協力で整備したものらしいです。
本堂にたどり着くまでに、白竜弁財天を祀るお堂に至る鳥居があったり、弘法大師像やお堂があったり盛りだくさん。
新緑も美しく、石段を上る過程も山寺ならではの楽しみ方を見つけられます。
石段の脇にある「舞台」にもタヌキが!さらに、七福神像が並んでいる横にも、タヌキが並んでいるのです…
階段を上がりきってもまた、苔むしたタヌキが…!さあ、いよいよ山の上に組んだ本堂が見えてきました。
狸谷を開山するきっかけとなった、洞窟。
その洞窟があった山の斜面に不動明王像を設置し、
その本尊を祀るために、周りに舞台を組んで、本堂が作られています。
この本堂は昭和61年に建てられました。
ここまで登ってきただけあって、舞台からの景色は絶景!
深い緑の奥に京都盆地が見渡せます!
ちなみに階段は近代以降に整備されたので、昔の人は山道を登ってここまでやってきていました。
宮本武蔵が滝行をしたと言われる滝。現在は、水乃口不動尊というのが置かれています。
さらに、ここにもタヌキが…
滝を右手に山道を進むと、奥の院にも参拝することができます。
いよいよ本堂にお参り。
荘厳な雰囲気の本堂は、普段は撮影禁止ですが…トークライブの風景写真を頂きました。
トークライブでは、このようになんと本堂でじきじきに貫主様との談話が聞けました。
詳しい内容はぜひ、本やブログにアップされたスライドでお楽しみください!!
たくさん歩いてお腹も減ったので、帰りは一乗寺ラーメンストリートの先駆け的存在、天天有へ。
東京などにも多く支店が存在する天天有ですが、じつは暖簾分けされた実質別の店のような感じで、味は大きく異なります。
鶏の濃厚さと野菜のうまみが特徴のこってりした中華そば。
チャーシュー乗せもオススメです。